医療法人梅華会グループ めまいは耳からおこる?

耳鼻咽喉科で診察する「めまい」

めまいは、平衡感覚をつかさどるさまざまな器官の障害で起こり、治療する診療科も耳鼻咽喉科をはじめ脳神経外科や神経内科、内科、心療内科、婦人科とさまざまですが、めまいの患者さんの約6割が耳鼻咽喉科で診察する「内耳性めまい」といわれています。
ここでは、主に耳鼻咽喉科で診察する「めまい」の病気について説明します。

メニエール病

~耳鳴りや難聴を伴って突然に起こるめまい~

突然、耳鳴りや耳の詰まった感じとともに起こる通常は回転性のめまいで、激しいめまいに嘔吐を伴うこともあります。
めまい発作は数十分から数時間で治まりますが、めまいに伴う耳の症状はめまい発作を繰り返すうちに悪化することがあり、耳鳴りや難聴がずっと残ってしまうことがあります。

回転性めまいと耳鳴りなどの耳の症状が揃うと「メニエール病かもしれない」とメニエール病を疑うことになります。
めまいは、フラフラする浮動性めまいのこともあります。

メニエール病と確定するのは、

  1. ① 主に回転性のめまいをくり返す。
  2. ② 耳鳴りや難聴がよくなったり悪くなったりをくり返す。
  3. ③ ①②の症状が他の特定の病気が引き起こしていないことがはっきりとし、その症状の原因が分からない。

以上の3つの状態が揃うと「メニエール病」と診断されます。

  • 原因
  • 主な検査
  • 一般的な治療

メニエール病の原因は、内耳になる三半規管や耳石器を満たしているリンパ液が増えすぎることと言われています。
通常、三半規管や耳石器内のリンパ液の量は一定に保たれていますが、何らかの原因でリンパ液の量が増えすぎると「内リンパ水腫」という水ぶくれ状態になり、聴覚や平衡感覚に狂いが生じてしまうのです。
その結果現われる症状が、耳鳴りや難聴、そしてめまいです。
このように、メニエール病は内リンパ水腫で起こることは分かっていますが、なぜ内リンパ水腫が起こるかは分かっていません。

問診

受診の際にはめまいは治まっていることもありますが、その時どんな症状だったのかは重要な情報です。
受診の前に、次のことを確認しておきましょう。

  1. ①めまいが起きた時間やその時の病態(疲労の程度、精神的ストレスなど)
  2. ②どんな種類のめまいか(グルグルとした回転性めまいorフワフワとした浮動性のめまいorその他)
  3. ③めまいとともに現れた症状(耳鳴り、難聴etc.)

聴力検査

耳鳴りや難聴などの耳の症状はメニエール病の診断の有力な手がかりです。
聴力検査は、どの程度の周波数の音(音の高さ)が、どのくらいの音量で聞こえるかをヘッドホンをつけて調べます。
メニエール病では、とくに低音が聞こえにくくなっていることが多く、毎回変動することも特徴です。

平衡機能検査

身体の平衡感覚をみるために、まっすぐ歩けるか、目を開けた時や閉じた時に静止していて立っていられるか、目を閉じたままその場で足踏みしていられるか――などの検査を行います。

眼振検査

平衡感覚が正常でない時に現われる特有の眼球の動き(眼振)をみる検査です。

薬物療法

患者さんの症状に合わせて、いくつかのお薬を単独または組み合わせて処方します。
内耳の状態を改善するために、内リンパ水腫に対して高浸透圧利尿薬、内耳の循環障害や神経障害に対して循環改善薬やビタミン薬が処方されます。
めまい発作を抑えるには、抗めまい薬、難聴に対してはステロイド薬を処方することがあります。
また、メニエール病は、精神的ストレスとの関係も考えられることから、めまいへの不安が強い患者さんには、抗不安薬が用いられることもあります。

心がけること

現在のところ、メニエール病のはっきりとした原因は分かっていません。
しかし、適切な治療によってめまい発作を抑えることは可能ですし、聴覚障害などの耳の症状を悪化させないためにも、正しい診断と治療が必要です。
また、規則正しい生活もめまい発作抑制に役立ちますから、日ごろから規則正しい生活を心がけましょう。

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