めまいの診断には、まず、問診でおおよその病気を推定し、さらに詳しいさまざまな検査を行って確定診断を行います。ここでは、めまいの確定診断必要な主な検査を紹介します。
周囲の雑音をカットする防音効果のある電話ボックスのような聴力検査室で行う検査です。
実は、音の聞え方には「気導聴力」と「骨導聴力」の2とおりがあります。
ほとんどの場合、私たちは、音を外耳孔から外耳道を通ってその奥にある鼓膜の振動を耳小骨という3つの小さな骨に伝えて、耳小骨が内耳のリンパ液を振動させることで生じる信号により聞いています。これを「気導聴力」と言います。
他方、頭を叩いたり、歯をカチカチ噛み合せたりした時に感じる音は、頭蓋骨の振動が直接内耳に伝わることで音として感じています。
これを「骨導聴力」と言います。
まず、気導聴力について、ヘッドホンを両耳にあてて125Hz~8,000Hzの7種類の周波数(音の高さ)の異なる音が、どのくらいの音の大きさで聞こえるかを調べます。
左右の耳を別々に検査し、聞こえる最も小さな音の大きさを確認します。
骨導聴力は、一定の圧力で音の出る端末を、耳の後に押し当てて測ります。
検査結果は、縦軸が聞こえのレベル(単位:dB)、横軸が音の高低である周波数(単位:Hz)で表した聴力図(オージオグラム)に記録されます。
聞こえのレベルの数値が小さいほど結果は良く、難聴があれば大きくなります。
なお、正常な方では、どの周波数の音もおおよそ30dB以下の数値となるので、それ以上の数値を示した方は、音の聞こえが悪いことになります。
めまいの検査に聴力検査が必要な理由は、平衡感覚をつかさどるめまいの神経と聞こえの神経は隣どうしに位置しているので、相互に影響し合うからです。
また、めまいの原因を突き止めるためにも必要で、例えば「メニエール病」は、めまい・難聴・耳鳴りの3つを特徴とする病気ですので、聴力検査は確定診断には必須の検査といえるのです。
目を開けて30秒間立っていられるか、目を閉じて30秒間立っていられるか、目を閉じたままその場で50回くらいの足踏みができるか――などを確認する検査で、めまいの原因、程度などを調べるために行われます。
重心動揺計という体のふらつきの度合いを調べる機械で検査します。
水平な台の上にまっすぐに乗り、目を開けた状態で60秒間、その後目を閉じた状態で60秒間立ちます。
その間、足のどの部分に重心があるのか、ふらつきはどのくらいあるのかが分かる検査で、60秒間立っているのが難しい場合は30秒でも検査はできますし、検査中はふらついて倒れないよう、スタッフが必ず付き添っていますので、安心して検査を受けてください。
めまいを訴える方には、眼球が絶え間なく不随意に動く眼振(がんしん)を認めることができます。
眼振検査は、眼球の動きを詳細に捉えることができるフレンツェル眼鏡という赤外線眼鏡をかけて行います。
CCD付き暗視装置を用いて眼球運動を画像ファイリングシステムに拡大して映し出し、患者さんにも分かるようにモニタリングします。
また、めまい症状が消失した後では、眼振を確認できないので、頭を動かしたりして再びめまいを起こして検査することもあります。