治療の基本は、耳石を半規管内から卵形嚢へ移動させることを想定した頭位治療という理学療法です。これを基本とし、補助的に抗めまい薬、循環改善薬、抗不安薬などを投与します。
頭位治療は原因となる結石が存在すると想定される半規管によって方法が選択されます。
良性発作性頭位めまい症の約70%を占める後半規管型で半規管結石に対しては、内服治療と図1のような非特異的理学療法を並行して行います。
注:①~⑥を1日4~5回繰り返し行う
頭位治療後に、めまい発作は治まっても軽度の浮動感やふらつきが続く場合も少なくないので、そのような場合には症状が落ち着くまで、循環改善薬、抗めまい薬、抗不安薬などを選択して服用します。
イソソルビド製剤、循環改善薬、抗不安薬、ビタミンB12製剤、漢方薬などを投与します。
イソソルビトは、内耳にありリンパ液で満たされた膜迷路の水腫軽減を目的に投与する、浸透圧利尿薬です。
投与方法は、1日に90~120mlを3回に分けて投与し、めまい発作の状況により適宜増減します。
症状が安定してきたら、30mlずつ減量し、最終的に1日に30mlの投与でも発作が起きないことを確認した時点で終了します。
イソソルビトでめまい発作の制御が難しい場合や、低音域の聴力低下が著しい場合にはステロイド薬の投与を行う場合もあります。
また、めまい発作時の応急処置として、浸透圧利尿薬とステロイド薬を合わせて点滴する場合もあります。
対症療法として抗めまい薬、鎮吐薬、抗不安薬などを症状に合わせて投与します。
また、ステロイド薬の投与(7~8日間ほどで漸減終了)を行う場合もあります。
強い眼振が認められる場合や悪心・嘔吐がひどい場合には総合病院へ紹介し入院治療をおすすめします。
激しいめまいや悪心が軽減し、起きていられるようになったら、内耳の平衡機能を小脳に代償させることを促進するために、積極的にリハビリとして非特異的平衡機能訓練(図2)を行います。
めまいに対しては、抗めまい薬、循環改善薬、制吐薬、抗不安薬などを、難聴に対しては、循環改善薬、ビタミンB12製剤、ステロイド薬などを投与します。
難聴が高度な患者さんは、点滴によるステロイド薬の大量投与を行いますので、基本的に総合病院へ紹介し入院をおすすめします。
治療の開始時期が予後を左右するので、できるだけ早期に治療を開始することが必要です。